2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750177
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古澤 宏幸 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (60345395)
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Keywords | 水晶発振子 / エネルギー散逸 / 生体関連高分子 / 結合水 / 固液界面 |
Research Abstract |
水晶発振子は基板上の分子を直接振動させることのできるデバイスであり、揺らしてみることで質量だけでなく物質の固さ・柔らかさ(粘弾性)などの力学的物性情報を得ることができる新たなツールになると期待できる。本研究では、水晶発振子基板上に合成高分子や生体高分子材料を固定化した基板を作製し溶媒と接触させることで様々な固液界面を作り出し、その中を振動伝播させることによって界面ごく近傍薄層空間内の固定化材料および溶媒の力学的物性に関する知見を得ることを目的とした。 本年度は、水晶発振子基板上に原子移動ラジカル重合法(ATRP法)を用いて様々な合成高分子をグラフト重合あるいは様々なタンパク質を固定化させ、それらの水和量と振動エネルギー散逸値を求めるために、ネットワーク・アナライザーを用いて水晶発振子に対し交流電場の周波数掃引を行いコンダクタンスの周波数応答より得られる共振曲線を解析して、共振周波数(F_S値)とその値に対する共振曲線の半値幅の比として与えられる振動エネルギー散逸値(D値 ; Dissipation Factor)を算出する測定を行った。 その結果、pDMAEMA、pNIPAM、pMPC、pHEMAなどポリマーごとに水和量とエネルギー散逸値に違いが見られた。また、様々なタンパク質を比較したところ、それぞれのタンパク質形状に依存して水和とエネルギー散逸値に固有の値を示すことがわかった。すなわち、本手法を用いることで、固液界面に存在する物質の力学的の物性を評価することが可能であることを示すことができた。
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