2007 Fiscal Year Annual Research Report
全芳香族縮合系プロック共重合体を用いた低膨潤・高プロトン伝導性電解質材料の開発
Project/Area Number |
19750178
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
早川 晃鏡 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (60357803)
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Keywords | 芳香族系高分子 / 縮合系高分子 / ブロック共重合体 / プロトン伝道 / 電解質膜 / 低膨潤性 / ナノ相分離構造 / スルホン酸 |
Research Abstract |
次世代のエネルギー源として、全芳香族縮合系高分子を用いた固体高分子形電解質膜による燃料電池開発が注目を集めている。しかしながら、その電解質膜が抱える課題として、電池作動で生じる温度や湿度変化に対する大きな膨潤と収縮があり、膜の長期形態安定性や電池の作動安定性に対する信頼が確保されていないことがあげられる。本研究は、これらの問題解決の糸口となる「低膨潤」で「高プロトン伝導」という、相反する機能を有する固体高分子形電解質膜の開発を目指し、従来の縮合系高分子には見られなかった疎水・親水性ナノ相分離構造の形成が期待される新規な「全芳香族縮合系ブロック共重合体」の合成とその相構造形成および構造解析を行い、燃料電池用電解質材料としての有効性について調べることを目的とした。 平成19年度は、本研究の最終的な目標であるブロック共重合体の合成に先立ち、モデル化合物となるブロックコオリゴマーの一成分にスルホン酸基を導入した全芳香族縮合系ブロックコオリゴマーの合成を行い、目的物を得ることに成功した。得られたオリゴマーのX線回折による高次構造解析を行ったところ、ナノスケールのラメラ構造が形成されていることが明らかとなった。これは、スルホン酸基を有する親水性ブロックセグメントと無置換の疎水性ブロックセグメントの相分離によるものであり、本研究の基盤となる明確なナノ相分離構造を利用した「低膨潤性」と「高プロトン伝導性」の機能発現の足がかりとなる結果が得られたと考えている。その他、オリゴマーの熱的性質や溶解性などについても調べた。これらの結果を基に、学術論文や学会発表によってその成果を報告するに至った。
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