2008 Fiscal Year Annual Research Report
全芳香族縮合系ブロック共重合体を用いた低膨潤・高プロトン伝導性電解質材料の開発
Project/Area Number |
19750178
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
早川 晃鏡 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (60357803)
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Keywords | 芳香族系高分子 / 縮合系高分子 / ブロック共重合体 / プロトン伝導 / 電解質膜 / 低膨潤性 / ナノ相分離構造 / スルホン酸 |
Research Abstract |
次世代のエネルギー源として、全芳香族縮合系高分子を用いた固体高分子形電解質膜による燃料電池開発が注目を集めている。しかしながら、その電解質膜が抱える課題として、電池作動で生じる温度や湿度変化に対する大きな膨潤と収縮があり、膜の長期形態安定性や電池の作動安定性に対する信頼が確保されていないことがあげられる。本研究は、これらの問題解決の糸口となる「低膨潤」で「高プロトン伝導」という、相反する機能を有する固体高分子形電解質膜の開発を目指し、従来の縮合系高分子には見られなかった疎水・親水性ナノ相分離構造の形成が期待される新規な「全芳香族縮合系ブロック共重合体」の合成とその相構造形成および構造解析を行い、燃料電池用電解質材料としての有効性について調べることを目的とした。 平成20年度は、19年度に確立したスルホン酸基を有するブロック共重合体の合成技術を基盤に、マルチブロック型スルホン化ポリスルホン誘導体の合成を行った。スルホン酸基を有するポリマーセグメントと無置換ポリマーセグメントをブロック化することによって明確なナノ相分離構造が形成される膜を得ることができた。スルホン化ポリマーセグメントの組成が異なる膜についてプロトン伝導性と吸水率を調べた、ところ、20mol%のスルホン化ポリマーセグメントを含むブロック共重合体膜が低吸水率で良好なプロトン伝導性を示すことがわかった。透過型電子顕微鏡観察と小角X線散乱測定から、この膜が他では見られないラメラ状のミクロ相分離構造を形成することが明らかとなった。これらの結果は、電解質膜のナノ構造制御によって、相反関係にある「低膨潤性」と「高プロトン伝導性」をバランス良く機能させることが可能であることを支持している。本研究を通じて、従来の電解質膜における課題を克服できる糸口が見いだせたと考えている。現在、これらの結果を基に、学術論文を執筆中であり、近く投稿予定である。
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