2008 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性体から有機分子へのスピン注入による有機スピントランジスタに関する研究
Project/Area Number |
19760005
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
仕幸 英治 Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (90377440)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 強磁性体 / 有機半導体 / 磁性 / スピン注入 / スピン拡散長 / 分子性固体 / 磁気抵抗 |
Research Abstract |
近年, 有機スピンエレクトロニクスの研究分野が非常に注目されている. 本研究では, スピン注入源である強磁性体と, 有機分子との界面状態を制御しやすい平面型構造素子を用いて, 強磁性体から有機分子へ効率良くスピンを注入し, 素子の磁気抵抗効果を測定することによりスピン注入効果を観測することを目的とした. 本年度の研究内容と成果を以下に示す. 1・試料作製前年度と同様にして、熱酸化膜付きSi基板上に電極間距離dを有する強磁性電極対を作製した. 正負両電極の形状を変えることにより電極間に保磁力差を付けた. 電極は前年度の正負電極突き合わせ形状だけでなく, 長方形の正負電極同士が平行配置となる電極形状を用いた. dの値は, 有機分子のスピン拡散長を考慮して, 数十ナノメートルから数百ナノメートルに設計した. 電子線リソグラフィによりパターニングされた試料基板上に, 強磁性電極材料としてNi_<80>Fe_<20>を電子線蒸着装置にて成膜した. 電極形成後、両電極をまたぐように有機分子Alq_3を抵抗加熱法により成膜した. 比較のために電極として非磁性体AuをNi_<80>Fe_<20>のかわりに用いた素子も作製した. 2・特性評価磁場中電気伝導特性評価装置により試料の磁気抵抗(MR)効果を評価した. Ni_<80>Fe_<20>電極素子からはMR効果が観測された. dの短い素子ほど大きなMR比を示した. 一方, Au電極素子においては, MR効果は観測されなかった. Alq_3成膜前の基板に対し, 基板表面を酸素プラズマにてアッシングすることにより, 素子抵抗の低減に成功した. また, 両電極素子に対して基板裏面よりゲート電圧を印加したが, その効果は観測されなかった. ゲート電圧印加効果の観測には, Alq_3よりも高キャリア濃度の有機分子の使用が適切であると考察した. 本研究成果を論文誌(Joumal of the Vacuum Society of Japan)にて発表した. また, 学会(電力中央研究所ワークショップ)にて, 本成果に関する依頼講演を行なった.
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