2008 Fiscal Year Annual Research Report
X線全反射現象を利用した抗原抗体反応の非標識観察に関する基礎研究
Project/Area Number |
19760006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑島 修一郎 Kyoto University, 工学研究科, 講師 (80397588)
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Keywords | タンパク / 抗原抗体反応 / 非標識 / X線反射率 / 有機薄膜 / バイオセンサー |
Research Abstract |
尿や血清中に含まれるマーカータンパクの高感度検出技術として,物質の密度差によって生じる「界面」での光学現象を利用した非蛍光標識センシング法が精力的に研究されている. このような技術開発において, 「界面」での均一な2次元的タンパク固定化が不可欠であり, 特に高いアフィニティはタンパク分子の配向など界面における固定化形態に大きく影響されるが, 抗体分子配向および抗原吸着に伴う膜パラメータ変化について詳細は不明である. 本研究では, 広ダイナミックレンジ計測が可能なX線反射率測定法を用いて, 肝細胞癌の腫瘍マーカーであるα-fetoprotein(AFP)について, 2次元平面上に固定化した抗体分子の配向状態および抗原タンパク吸着構造を詳細に検討した. 得られた反射率プロファイルの多層膜モデル解析から, 抗AFPは明らかにシラン単分子膜上に均一な単層膜を形成しており, 膜密度1.07g/cm3, 膜厚2.97nm, 界面粗さ0.81nmの膜パラメータを決定できた. また抗体の最短軸長が約4nmであることから, 水平配向(Flat-on)の抗体吸着が支配的であることが明らかとなった. さらに, AFP特異吸着後のプロファイルでは膜厚を反映した干渉縞の間隔が狭くなっており, 膜厚の増加が示唆された. 得られた膜厚(3.45nm)から, AFP分子直径(約6nm)を考慮すると, AFP分子の殆どが抗体層に埋まっており, 一部が最表面に突出している状態で特異吸着していることが予想された. 本研究において, 抗原抗体反応によるX線反射率変化を検出できたことから, 抗体分子配向やそれに伴う抗原吸着特性についてさらなる解明が期待される.
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