2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760010
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森田 健 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (30448344)
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Keywords | 半導体光物性 / 超高速分光 / コヒーレントフォノン / 超高速光スイッチング / 2光子吸収 / 半導体多層膜 / 内部電場増強効果 |
Research Abstract |
本研究目的は、同位体制御半導体中のコヒーレントフォノン物性を明らかにするものであったが、50fs以下のパルス幅が得られず、コヒーレントフォノンを観測できる段階まで至っていない。そこで、並行して光通信帯における高性能な光カースイッチの実現に向け、1.5μm帯におけるポンププローブ系を構築し、GaAs/AlAs多層膜中の非線形応答の観測を中心に行った。半導体多層膜内部における非線形光学応答は既に観測され、その内部電場増強効果も計算で予測されているが、その増大効果や応答速度が実際にどの程度であるか?という基本的でかつ応用上重要な検証実験は行われていない。我々は2光子吸収による時間分解高速応答をGaAsバルクと比較し、内部電場の増大効果を明らかにした。多層膜はGaAs110 nm、AlAs123 nm を交互に30周期積層し、中心にGaAsλ/2層を挿入した構造を分子線エピタキシ法により作製した。測定の結果、半導体多層膜の2光子吸収のシグナル強度は同じ膜厚のGaAsに比べて3桁以上も大きいことが分かり、また平均内部電場は30倍から40倍増大していることが分かった。これは内部電場のシミュレーション結果とも一致し、我々は内部電場の増大効果を明らかにするとともにその検証方法の確立に成功した。応答速度に関しては、半導体多層膜の透過モードの幅に依存し、多層膜の層数を増やすと応答速度に遅くれが生じることが分かった。他にも増大効果の半導体多層膜数依存性や、その応答速度、カーシグナルと2光子吸収シグナルの比較、その3次の非線形分極による異方性なども調べており、興味深く重要な実験結果をコンスタントに収集している。今後も学会と学術論文で活発に報告する予定である。また今年度は50fs以下のパルス幅以下のパルスレーザを構築し、本来のコヒーレントフォノンの実験も並行して進める。
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