2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760010
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森田 健 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (30448344)
|
Keywords | 半導体光物性 / 超高速分光 / 光カー効果 / 超高速光スイッチング |
Research Abstract |
同位体制御半導体中のコヒーレントフォノン物性を明らかにするものであったが、50fs以下のパルス幅が得られず、コヒーレントフォノンを観測できる段階まで至っていない。この状況は残念ながら進展していない。並行して力を注いできた光通信帯における半導体多層膜を用いた光カースイッチングに関する研究において大きな進展があったので報告する。H19年度の成果は半導体多層膜内部における内部電場増強効果増大効果や応答速度が実際にどの程度であるか? について調べた。H20年度は、半導体多層膜共振器の積層数を変化させ、つまりQ値に依存する共振器効果に対して光カー信号はどのように増大するのか? また内部にInAs量子ドットのような高い非線形性を有する材料を埋め込むことで、光カー信号強度をどの程度強められるの? について実験を行った。まず、我々はGaAs/AlAsの積層数を22周期、26周期、30周期と大きくするに従って、共振器モードの線幅が狭くなり非線形効果を起こす光の強度が小さくなるにも関わらず、光カー信号はほとんど変化しなかった。この結果は共振器効果によって内部の光電場強度と光寿命が増大したことよって光カー効果が強くなったことを示す。次に22周期の多層膜共振器の内部に歪み緩和させたInAs量子ドットを埋め込むと、そうでない場合に比べて信号強度が60倍も大きくなることを見出した。この構造はキャリアの寿命を15ps程度に抑えられていることから、パターン効果を抑えた強い信号強度を持つ光デバイスへの実現に向けて大きく前進した。このように、H21年度の成果によって半導体多層膜共振器構造はQ値に対して、光カー効果が大きくなること、それから共振層内部に歪み緩和させたInAs量子ドットを挿入することは大変有用であることを明らかにした。
|