2007 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンゲルマニウム系へテロ構造における選択的歪み制御技術開発
Project/Area Number |
19760011
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤野 憲太郎 Musashi Institute of Technology, 総合研究所, 助手 (90409376)
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Keywords | SiGe / 歪み / イオン注入法 |
Research Abstract |
これまで半導体技術は素子の縮小化によって発展を遂げてきたが、近年その縮小化に物理的限界が近づき、新たな技術革新が必須となっている。その中で、シリコン(Si)に結晶歪みを加えた「歪みSi」チャネルが実デバイスに導入され、歪み制御技術の高度化、新技術開発は最重要かつ不可欠な課題である。本研究では、これまでとは全く異なる新手法を用いた歪みの制御技術開発を行った。具体的には、イオン注入法による選択的欠陥導入を行い、歪み場分布の面内任意制御および異方性歪み場の実現を試みた。 まず、Si基板上にSiO_2を堆積し、フォトリソグラフィーによってパターニングを施す。続いてそのSiO_2膜をマスクとして、Si基板上にパターン状にイオン注入を行った。その後分子線エピタキシーによってSiGe薄膜をエピタキシャル成長させ、熱処理を施した。この熱処理中に、パターンによってイオン注入された領域にのみ転位が発生し、歪みの緩和が生じることが期待できる。 実際に作製した試料を、顕微ラマン分光法によって、面内歪み分布を詳細に調べた結果、パターンに沿って歪みの異なる領域が明瞭に観察された。同一な層であるにもかかわらず、横方向に歪み分布を実現した例はこれまでになく、本手法のユニーク性が顕著に示された結果である。さらに面白いことに、熱処理前に平坦だったSiGe層が、熱処理後、イオン注入の施されていない領域のみ隆起する現象を見出した。これはイオン注入領域、すなわち緩和領域の横方向への弾性的応力に起因するものと考えられ、今後さらなる詳細な検討を進めていくところである。これは一軸性歪みが生じていることを示唆しており、今後のローカル歪みデバイス応用へ向けて非常に有望な結果であると言える。
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