Research Abstract |
Cu_2ZnSnS_4(以下CZTS)薄膜は, 次世代薄膜太陽電池として開発されているCu(InGa)Se_2薄膜光吸収層の稀少元素In, GaをZn, Snで置換し, 有毒元素SeをSで置換した環境負荷が小さな次世代太陽電池材料である。本研究では, 非真空プロセスである電解めっき法を用いて作製した前駆体(プレカーサ)から硫化によってCZTS薄膜を作製し, 表面観察, 構造評価および組成評価を行うことで光吸収層薄膜としての最適な製膜条件を見いだし, CdSバッファ層/ZnO : Al窓層を用いた太陽電池デバイスの作製を試みた。 これまでの積層めっき・硫化法によるCZTS薄膜の作製とともに, 新たに, 合金めっき・硫化法を用いたCZTS薄膜太陽電池の作製を行った。合金めっきプリカーサは, SnCl_2, CuSO_4, ZnSO_4, Na_3(C_3H_50(COO)_3)を含む水溶液中で電気化学測定システムを用いた定電位電解めっきによりglass/Mo基板上に作製した。溶液濃度・めっき電位を変化させることでプリカーサの組成比の最適化を行い, 電解電位-1.1〜1.2[Vvs. Ag/AgCl]において, Cu/(Zn+Sn)=0.97, Zn/Sn=1.4のプリカーサを得た。このプリカーサと純硫黄100mgをガラスコンテナに入れ, 大気圧窒素雰囲気下で600℃, 2時間で硫化を行った。その結果, Cu/(Zn+Sn)=1.0, Zn/Sn=1.1, S/metal=0.89の組成比を持つCZTS薄膜が得られた。このCZTS薄膜を用いてglass/Mo/CZTS/CdS/ZnO : Al/Al構造の太陽電池デバイス化を行い, AM1.5照射下において, 開放電圧0.540[V], 短絡電流密度12.6[mA/cm2], 曲線因子0.464, 変換効率3.16%の特性が得られた。
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