2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工ナノ構造を持つ高温超伝導体単結晶超薄膜の作製と磁束線物性
Project/Area Number |
19760017
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大井 修一 National Institute for Materials Science, 超伝導材料センター, 主任研究員 (10354292)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / アンチドット格子 / 磁束量子マッチング効果 / 磁束線フロー |
Research Abstract |
高品質高温超伝導体単結晶、主に劈開による薄膜作製が可能なBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+d>への人工的な微細孔の導入、およびその磁束線物性評価を行った。試料作成・評価においては、前年度開発した30Kまで冷却可能な試料ホルダーを持つミリングチャンバーを用いて、試料加工と磁場下での物性測定をin-situで行なった。試料加工における更なる改善点として、加工したサンプルを大気中に暴露しても安定な状態にするために、同じチャンバー内でのCaF_2やSiO の抵抗加熱蒸着を試み、SiOの場合により良好な結果を得た。これによって時を隔てても試料を繰り返し評価できるようになった。 具体的な成果として、高温超伝導体における分数マッチング効果、ピン止めされた渦糸固体の融解相転移を初めて見出した。融解転移は明瞭な抵抗のジャンプとして観察され、一次相転移の様相を示す。渦糸固体相と渦糸液体相の境界は明瞭に区別可能なため、この環象を利用して、マッチング磁場を僅かに変化させるなどの手法により渦糸固体の一部分のみを融解させることは可能であり、渦糸フローの分岐制御といった渦糸制御デバイスに繋がることが期待される。また、これらの現象は、試料の作製条件によって現われ方に差がある。FIBにより作製された人工孔について正確な形状や周辺ダメージなどより詳細に調べる必要がある。ピン止め力を変えることで相転移の出現を制御できるため、孔の評価とは別に、現在人工孔の径や深さを変えるなど系統的にピン止め力を制御する方法を試している。
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