2007 Fiscal Year Annual Research Report
12回対称性を持つタンタル-テルル系準結晶の高温高圧合成
Project/Area Number |
19760018
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
齋藤 寛之 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 任期付研究員 (20373243)
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Keywords | 結晶成長 / 高温高圧 / 準結晶 |
Research Abstract |
高い規則度を持つ良質なTa-Te単準結晶の合成を目指して、Ta,Te混合粉末の高温高圧下での反応と生成物の相安定性を調べている。Ta-Te系準結晶は唯一の熱力学的に安定な12回対称準結晶として報告されているが、良質な単準結晶を得るには至っていない。単準結晶の育成を困難にしている原因の一つとして、Teの高い蒸気圧力が指摘されている。圧力効果によってTeの気化を抑制することで、TaとTeの反応性を高め、良質な単準結晶が得られるようになる可能性がある。当該年度では研究計画に基づきTa,Te混合粉末の高温高圧下での反応と相安定性を7.5GPa,2000℃までの温度圧力領域で、放射光その場観察により調べた。 混合粉末は室温での加圧では反応せずTaとTeが単体で存在する。高圧下の加熱によりまずTe単体の構造相転移がおこる。その後ほぼTe単体の融点付近の温度でTaとTeが反応しTaTe_2が生成する。未反応のTaは単体Ta金属として存在する。今回実験を行った7.5GPaまでの圧力領域では、さらに加熱をしても未反応のTaは残存し、およそ1700℃でTaTe_2とともに融解した。融解した試料は急冷された後、徐冷され常温常圧下に回収された。回収試料を分析した結果、試料の大部分はTaTe_2とTaであった。 以上のようにして7.5GPa,2000℃までの温度領域でTa-Te系の高温高圧反応図を決定した。Ta-Te系の温度圧力図はこれまでに報告はなく、基礎物理データの蓄積という観点からも重要である。一方、この温度圧力範囲では、Ta-Teの一致溶融は確認できず、融液からの成長を行うことは難しいことがわかった。
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