2008 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面のドーパントの元素識別-放射光STMを用いて-
Project/Area Number |
19760028
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
高木 康多 Institute for Molecular Science, 物質分子科学研究領域, 助教 (30442982)
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Keywords | 半導体表面 / ドーパント / 元素識別 / 走査トンネル顕微鏡 / 放射光 |
Research Abstract |
本年度は放射光照射下のGe(111)表面を走査トンネル顕微鏡(STM)によって観察した。前年度までの研究でこの表面においては放射光照射下のSTM観察によって表面原子の移動が起こり, 長時間の測定では表面の結晶性が崩れることがわかっている。この現象は安定した測定を行う上で大きな障害となる。本年度は放射光照射下でも安定してSTM測定ができる条件を探索した。 さまざまな条件を検討・試行した結果, 放射線の強度を減少させて測定することにより安定したSTM測定を数時間続けることが可能となった。しかし, 放射光強度を減らすということは検出すべき信号強度にも影響することが考えられる。そこで銅を吸着させたGe(111)表面を用いて銅の部分とGeの部分から得られる信号強度およびそれらの強度差と放射光強度との関係を調べた。ここで銅吸着表面を用いた理由は金属-半導体という異なる原子種の表面を使った方が信号を検出しやすいためである。この測定により信号強度およびその強度差は放射光強度に比例することが明らかとなった。放射光の影響をSTMのような実空間測定によって検出することはあまり例がなく, 特に信号強度に対する放射光強度の依存性を確かめたことは今後の研究の進展に対し意義がある。 これらの実験結果からわかることは, 安定した測定のために放射光強度を減少させると検出すべき信号強度も減少し, その結果, 測定そのものが難しくなるということを示している。今後は安定した測定が可能な範囲内でかつ信号強度としては十分に大きい値が得られる放射光強度を見出す必要がある。現在そのような条件を探索中である。
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