2007 Fiscal Year Annual Research Report
溶液中の大質量陰イオンの負イオンビーム化と二次イオン質量分析(SIMS)への展開
Project/Area Number |
19760029
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤原 幸雄 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60415742)
|
Keywords | 大質量陰イオン / 負イオンビーム / 二次イオン質量分析 / SIMS / クラスター |
Research Abstract |
近年,クラスターイオンを二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)における一次イオンビームとして用いることで,高精度かつ高感度なSIMS分析が可能となることがわかり,Au_3^+(分子量591u)やC_60^+(分子量720u)などを用いたCluster SIMSに大きな関心が集まっている。既に我々も,より分子量が大きい金属クラスター錯体lr_4(CO)_<12>(分子量1104.9u)をSIMS分析に用い,その有用性の実証に成功している。一方,クラスターの特徴を一層顕在化させるためには,より原子数が多く,より大きいクラスターイオンを利用することが望ましい。 そこで我々は,"イオン液体"のエレクトロスプレー(Electrosprav)を用いた溶液型のイオンビーム源の研究開発を開始した.本年度は,イオン液体のエレグトロスプレー特性を詳細に調べた。イオン液体としては,N,N-Diethyl-N-methyl-N-(2-methoxyethyl)ammonium。bis(trifluoromethanesulfonyl)imidを用い,有機溶媒(テトラヒドロフランやエタノール)に溶解させた溶液を試料とした。実験では,SUS製キャピラリー(内径30μm)に試料溶液を導入し,高電圧(〜±3kV)を印加した際のエレクトロスブレーにより生成されたイオン電流を測定した。 実験により,正および負イオン両モードにおいて,イオン液体を含有する溶液試料を安定にエレクトロスブレーできることを確認した。また,負イオンモドにおける負イオン電流の印加電圧依存性を調べ,100nAを超える負イオン電流を生成可能であることを確かめた。さらに,大気中で笙成したエレクトロスプレー電流を差動排気により真空中に遵き,生成イオンをnAオーダーで真空中に輸送できることにも成功した。以上の結果から,溶液型クラスターイオンビーム源の実現に向けて明るい見通しを得ることができた。
|
Research Products
(1 results)