2008 Fiscal Year Annual Research Report
大強度パルス中性子に対応した中性子干渉光学素子の開発と分光器への応用
Project/Area Number |
19760046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北口 雅暁 Kyoto University, 原子炉実験所, 助教 (90397571)
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Keywords | 中性子光学 / J-PARC / 中性子干渉計 / 基礎物理 / ソフトマター |
Research Abstract |
(1) 研究代表者はすでに中性子波動を空間的に分割・重ね合わせする素子「ビームスプリッティングエタロン」を開発し、これを利用したJamin型冷中性子干渉計の開発によって中性子干渉計の長波長化・大型化の可能性を示している。ビームスプリッティングエタロンは中性子多層膜ミラーを高精度光学基板を用いて配置したもので、そのミラーとして白色中性子を反射できるスーパーミラーを利用することで干渉計を白色中性子に対応させることができる。平成20年度には、複数の波長領域に対して反射できる「多色ミラー」を開発しこれを干渉計に組み込み、「多色中性子干渉計」を構築することに成功した[2008年物理学会で発表]。スーパーミラーを用いた干渉計についても実験を開始している。(2) 中性子スピンエコーは試料のダイナミクスを測定できる準弾性散乱分光装置である。その一種である共鳴スピンエコーでは共鳴スピンフリッパーの振動磁場の周波数が高いほど測定の分解能が向上する。共鳴スピンフリッパーでは振動数に比例した静磁場が必要だが、高周波化に必要な強磁場を安全に発生させることができなかった。平成20年度には研究代表者らは鉄芯入りの電磁石を用いて、従来の20分の1の電力で安全に高周波のスピンエコー装置を組むことに成功した[2008年偏極中性子の国際会議PNCMIにて発表、投稿中]。さらに高周波化に向けて開発を続けている。
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