2007 Fiscal Year Annual Research Report
欠陥を与えたイオン結晶上に成長する金属ナノクラスターのイオンビームアナリシス
Project/Area Number |
19760047
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
深澤 優子 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 講師 (50379327)
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Keywords | イオンビーム / 表面チャネリング / ナノ材料 / 走査プローブ顕微鏡 / 結晶成長 / 電子刺激脱離 |
Research Abstract |
電子線照射により欠陥を生成したイオン結晶表面に成長する,金属ナノクラスターの初期成長過程についてイオンビームを用いた方法で解明することを目的としている。今年度はイオンビーム実験で使用する磁場型エネルギーアナライザの作製・評価を行った後,金属ナノクラスターの下地となる,欠陥が誘起されたイオン結晶表面でのイオンビーム散乱実験と原子問力顕微鏡(AFM)観察を行った。 イオンビーム実験は奈良女子大学理学部・物質分析用静電加速装置を用いて行った。超高真空散乱槽内に取付けたKC1結晶表面に0.55MeVの陽子を,表面チャネリングの条件で入射し,散乱したイオンビームをエネルギーアナライザで分析し検出した。これらの測定の間に数回,表面に電子線照射を行い,結晶表面に欠陥を生成し,欠陥により生じた陽子のエネルギースペクトルの変化をしらべた。また,<100>および<110>表面チャネリング軸付近で入射方位角をわずかに変えて入射し,散乱陽子の収量の入射方位角依存(チャネリング・ディップ)の変化を調べた。チャネリング・ディップは<100>では電子線照射量の増加とともにディップが深くなり,シャープになったが,<110>ではディップは広がり浅くなった。このことは電子線照射により欠陥が誘起され,原子列の配置が変化した表面の情報が得られたことを意味する。 イオンビーム実験後のKC1表面はAFMで観察した。これまで報告のある,直方体のステップではなく,1原子層の高さの円形のステップが幾層にも重なった円錐上の突起物が見られた。この突起物は一定以上の照射を行なうと出現し,その直径は,照射量にかかわらず,数100〜1000Åとなった。 イオンビームを用いると,原子列の配置変化の情報が得られるため表面数原子層の構造解析に有効であることがわかった。今後AFMで観察された最表面形状を反映した,適切な表面モデルのコンピュータ・シミュレーションを行うことより,さらに定量的・定性的な説明を行うことが可能であろう。
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Research Products
(6 results)