2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 義幸 Kyoto University, 情報学研究科, 助教 (40314257)
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Keywords | 長距離相互作用 / 準定常状態 / 非平衡統計力学 / Lynden-Bell統計 / 準周期状態 / Landau減衰 |
Research Abstract |
長距離相互作用系では、熱平衡状態に緩和する前に、しばしば準定常状態と呼ばれる状態に長時間トラップされる。トラップされる時間は粒子数とともに増加し、大自由度系では実験的に観測されるのは熱平衡状態ではなく準定常状態となる。そこで、準定常状態における統計力学とダイナミクスが重要な研究テーマとなる。前年には、Hamiltonian mean-field(HMF)モデルと呼ばれる平均場系において、Lynden-Bell統計の有用性を示した。今年度は、モデルを平均場系から1次元自己重力シートモデル(以下、シートモデルと呼ぶ)に変更してLynden-Bell統計の有用性を検証した。従来、シートモデルではLynden-Bell統計は使えないと認識されてきた。なぜならばシートモデルでは、中心付近の高密度のコア部分と、周辺の低密度のハロ部分が形成され、特に力学的な理由によって形成されるハロ部分は統計力学では捉えられないからである。本研究ではそれを逆手に取り、コア部分のみか着目するならばLynden-Bell統計が有用ではないかと考え、このアイディアを数値計算を用いて肯定的に検証した。一方、HMFモデルを用いて準定常状態におけるダイナミクスの研究も行った。電子のみが動くプラズマ系では、複数の移動型クラスターが形成されることが観測されているが、引力系では複数クラスターの存在は明確ではなかった。そこで、HMF系において相互作用を引力型と斥力型としたとき、それぞれかおいて複数の移動型クラスターが形成されるかどうかを理論的か予測し、数値的に検証した。その結果、引力系は斥力系に比ベて複数クラスターを形成しかくいが、初期状態の範囲をGauss分布からLynden-Bell統計に拡げることにより形成が可能となることがわかった。
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Research Products
(4 results)