2008 Fiscal Year Annual Research Report
圧力・磁場制御型自己集合を用いた磁性ナノ粒子2次元配列膜の構造解析計算
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19760054
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
青島 政之 Akita Prefectural University, システム科学技術学部, 助教 (20315625)
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Keywords | コロイド単層膜 / 界面活性剤層 / 表面圧-面積等温線 / 構造相転移 / モンテカルロ・シミュレーション |
Research Abstract |
前年度は, 垂直外部磁場の影響下で磁性ナノ粒子単層膜の内部構造は界面活性剤層の寄与が支配的となることが明らかとなった. そこで今年度では界面活性剤層の影響に焦点を絞った解析を行った. 界面活性剤層ポテンシャルに起因する単層膜の表面圧の増加が内部構造に及ぼす影響を定量的に見積もるため, 表面圧-面積等温線と動径分布関数を用いた定量的な解析ができるよう, シミュレーション・プログラムの大幅な改造を行った. さらに, 斥力項のみを考慮した解析的ポテンシャルモデルと, 引力項を導入した現象論的ポテンシャルモデルの2種類の界面活性剤層ポテンシャルの比較検討を行つた. 結果を要約すると以下のとおりである. 解析的ポテンシャルモデルを用いた計算では, 界面活性剤層が厚くなると等温線に単層膜の構造相転移を示すショルダーが生じる. エネルギー解析の結果, ショルダーにおける面積の前後で六方格子構造と正方格子構造のエネルギーの逆転が起きることがわかった. 現象論的ポテンシャルモデルを用いた計算では, 表面圧一面積等温線は徐々に増加した後, ある面積で急激な圧力増加を示す. ポテンシャルの極小値の影響により, 粒子間距離は一定に保たれる傾向にある. それゆえ, 密度減少によるエネルギー増加は六方格子構造に対する格子欠陥の形成となって現れる. ところが, さらに高密度の領域になると, 第2隣接粒子間距離がポテンシャルの極小値に相当するように粒子の再配列が生じる結果, エネルギーの小さい正方格子構造が出現する. 以上の結果は, 高密度磁気記録材料の開発にとって重要な構造である正方格子構造の出現条件を, 実験的に測定可能な表面圧-面積等温線と関連付けて明らかにした点に大きな意義がある.
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Research Products
(2 results)