Research Abstract |
本研究では,実対称正定値一般化固有値問題における,全ての固有対の存在証明,及び全ての近似固有対の精度に関する,理論的に厳密で定量的な保証を,数値計算法によって与える方法,すなわち全ての固有対の精度保証付き数値計算法を構築した。 この方法は,全ての近似固有対が得られたときに,各近似固有対に対して,それぞれの誤差限界を与える。このような誤差限界を得ることにより,真の固有対の厳密な存在範囲を,定量的に把握することができる。さらに,得られた近似固有対の,定量的な品質検証を行うことができる。これは理工学において真に重要な結果であり,この結果の与える意義は大きい。具体的には,下記の成果を挙げた。 1,実対称正定値一般化固有値問題における,全ての固有対の精度保証を行うための基礎となる理論を構築した。 2,初期の段階で得られる行列を,その後の処理において再利用したり,浮動小数点演算の事前誤差評価を利用したりすることによる,精度保証の高速化技術を構築した。 3,構築した理論・技術を基に,上記の方法を考案し,この方法を実装した。 4,構築した方法に関して,国内外の学会で発表した。 5,構築した方法を応用することにより,二次固有値問題における,全ての固有対の精度保証付き数値計算法を考案した。 6,実対称正定値一般化固有値問題及び二次固有値問題における,全ての固有対の精度保証付き数値計算法に関して,学術誌に論文を投稿した。
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