2007 Fiscal Year Annual Research Report
定量的で高感度な渦電流マイクロスコピー法の実現とナノ薄膜の導電率評価
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19760057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
燈明 泰成 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (50374955)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 走査型プローブ顕微鏡 / 非接触計測 / 磁気プローブ / ナノ薄膜 / 渦電流 / 位相 / 導電率 |
Research Abstract |
平成19年度は申請時に計画した研究を遂行し、以下の研究実績を得た。 1.磁気プローブを用いた渦電流形成の実現 導電率の異なる非磁性のCu、Au、Ptナノ薄膜配線サンプルをMEMSプロセスにより作製した。作製したナノ薄膜配線の厚みは100nm、幅10μmであった。シリコンカンチレバーの探針にCo-Crを蒸着した磁気プローブを、永久磁石で磁化した後に走査型プローブ顕微鏡に取り付け、各金属ナノ薄膜配線の幅中央、配線表面より75nmの高さ位置においてプローブを振動させたところ、ナノ薄膜上で薄膜内部に形成された渦電流に起因したプローブの位相変化(渦電流損失)が生じた。位相変化の絶対値がCu、Au、Ptの順に大きくなることを観察した。 2.ナノ薄膜内での局所渦電流形成の理論構築 磁気プローブをナノ薄膜上で振動させた際に、ナノ薄膜内に形成される渦電流の理論モデルを構築した。構築したモデルは、振動する磁気プローブの漏洩垂直磁場変動により、薄膜内部に渦電流が誘起され、これが発生する垂直磁場とプローブの垂直磁場とが相互作用を引き起こし、結果としてプローブの振動位相が変化するものである。項目1で各ナノ薄膜配線サンプルに対して観察された位相変化と、4端子法により測定した導電率(渦電流を観察したサンプルでの測定が困難であったことから、同じプロセスにより、4端子法測定用のサンプルを別に作製した)を比較したところ、両者は比例関係にあり、理論モデルによる予測と一致した。 3.電流が作る既知の磁場を用いた磁気プローブ垂直磁場の校正 幅10μmなるAl薄膜配線に直流電流を付与し、配線周りに磁場を形成した。ここで配線の形状および付与電流より、ビオサバールの法則を用いて配線周りの磁場を算出し、既知の磁場に対して生じる磁気プローブの位相変化を観察することで、磁気プローブの垂直磁場を評価することに成功した。
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Research Products
(5 results)