2008 Fiscal Year Annual Research Report
定量的で高感度な渦電流マイクロスコピー法の実現とナノ薄膜の導電率評価
Project/Area Number |
19760057
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
燈明 泰成 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (50374955)
|
Keywords | 機械材料・材料力学 / 走査型プローブ顕微鏡 / 非接触計測 / 磁気プローブ / ナノ薄膜 / 渦電流 / 位相 / 導電率 |
Research Abstract |
最終年度は申請時に計画した研究を遂行し、以下のような研究実績を得た。 1. 各種金属ナノ薄膜の導電率評価Cu、Au、Ptナノ薄膜配線サンプルに対する渦電流誘起実験で得られた磁気プローブの振動位相変化(渦電流損失)と前年度に構築した理論モデルより、当該ナノ薄膜サンプルの導電率を評価することに成功した導電率は磁気プローブの位相変化が大きな順に一致し、Cu、Au、Ptナノ薄膜の順であった。最も高いCuナノ薄膜の導電率はAuナノ薄膜のそれに比べておよそ4倍であった。また、Au薄膜配線に通電する電流を0〜25mAの範囲で2mAずつ変化させて磁気プローブの位相変化を観察したところ、8mAにおいて位相変化が最小となった。この変局点は本渦電流顕微鏡法と磁気力顕微鏡法との競合点を示しており、本手法で形成した渦電流が僅かな外乱電流によっても乱されない程、高密度であることを示唆している。 2. 磁気プローブの改良と外部振動付与による高感度化の試み磁気プローブ-金属ナノ薄膜間の距離を変化させた場合の渦電流誘起実験、および、先端形状の異なる磁気プローブを用いた場合の渦電流誘導に関する考察より、磁場の振動方向の変化率を大きくすることが本渦電流顕微鏡法の高感度化に有効であることを見出した。また、より高密度の渦電流を誘起する策として、ナノ薄膜の外部から磁気プローブの振動と逆位相の振動を付与する手法を提案し、外部加振方法として、高分子薄膜を介した超音波入射が効果的であることを見出している。 3. 白金ナノワイヤの導電率評価酸化絶縁処理したシリコン基板上に配置した直径800nmのPtナノワイヤへの渦電流励起に成功した。また、Ptナノワイヤ上で観察される磁気プローブの振動位相の変化にナノワイヤ表面の曲率の影響が現れることを見出し、これを補正することで、ナノワイヤの非接触導電率計測が行える可能性を示した。
|