2007 Fiscal Year Annual Research Report
レーザピーニングによるアルミニウムの疲労信頼性向上と放射光による疲労破壊機構解明
Project/Area Number |
19760059
|
Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
政木 清孝 Okinawa National College of Technology, 機械システム工学科, 准教授 (30323885)
|
Keywords | 材料力学 / 長寿命化 / 高サイクル疲労 / レーザピーニング / 放射光 / アルミニウム合金 / き裂進展 / 断層撮影技術 |
Research Abstract |
交通・輸送機器の信頼性向上と長寿命化,ならびに部材の軽量・高強度化による高速化の促進を目的として,原子力プラント炉内構造物の応力腐食割れ損傷予防・保全技術として開発・実用化されているレーザピーニング(LP)処理を,自動車や航空機の構造部材として多用されるアルミニウム合金に適用した.その基本的な疲労強度評価を行うとともに,放射光を用いた疲労き裂進展観察技術の確立を目指す研究である. まず,アルミニウム合金の疲労特性に対するLP処理の効果を調査し,以下の知見を得た. (1)自動車用アルミニウム合金AC4CHに対するLP処理は,回転曲げ疲労強度を約40MPa向上させ,疲労寿命を5〜10倍に改善する. (2)航空機用アルミニウム合金A7050の回転曲げ疲労特性は,疲労き裂発生寿命のばらつきが原因で破断寿命も大きくばらつくが,LP処理によって顕著に抑制される. 続いて,放射光を用いたμCT技術による疲労き裂観察技術の確立に着手した.大型放射光施設SPring-8のビームラインBL19B2を利用し,まずはLP処理を施さない通常のAC4CHの疲労き裂進展挙動の観察を試みた.その結果以下の新しい知見を得た. (1)通常用いられる直径数mmサイズの試験片における疲労き裂進展挙動を,三次元的に非破壊で観察する技術を確立した. (2)試験片内部に存在する鋳造欠陥を起点とする疲労き裂発生・進展挙動を,世界で初めて観察することに成功した. (3)μCT観察によって得られるき裂形状を,レプリカ観察結果,SEM観察結果,レーザ顕微鏡観察結果と比較し,その形状の妥当性を示した. 放射光を利用したμCT技術によって,試験片内部の欠陥などからき裂が発生する内部起点型疲労破壊のき裂進展挙動を直接観察可能であることを明らかとした.現在,疲労研究の大きな課題となっている内部起点型疲労破壊に関して,そのメカニズム解明に役立つ有用な成果が得られた.
|