2007 Fiscal Year Annual Research Report
原子輸送と微視組織変化を考慮した金属薄膜界面近傍における高温損傷機構の解明
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19760060
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
澁谷 忠弘 Yokohama National University, 大学院・工学研究院, 特別研究教員 (10332644)
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Keywords | 原子輸送 / 金属薄膜 / 界面破壊 / 高温強度 / 微細組織 / クリープ / 錫めっき / ウィスカ |
Research Abstract |
本研究では,原子輸送と微視構造の変化を考慮した金属薄膜界面の高温損傷メカニズムを解明する.今年度は,比較的融点の低い錫系薄膜を対象として検討した.クリープを考慮した薄膜内部の多軸応力場と粒界拡散をベースとした欠陥生成モデルを提案して,欠陥の成長メカニズムについて検討した.局所的なクリープ変形によって形成される多軸応力勾配は,欠陥を急速に成長させる.膜内部の応力勾配は,膜のクリープ特性に強く依存しており,その把握が重要となる.続いて,薄膜-基板界面での微視構造変化を考慮した応力解析を行い,原子輸送による欠陥成長メカニズムについて検討した.微視構造の幾何学的な配置によって,原子輸送挙動に2種類のモードがあることを明らかにするとともに微視組織変化を考慮した破壊モデルを提案した.提案したモデルは,様々な研究報告で確認されている微小欠陥の成長挙動を定性的に上手く説明している.以上の得られた結果の検証を目的として,錫合金薄膜を対象として微小圧子を用いたクリープ試験を行い,その変形挙動について検証した.錫系薄膜における欠陥成長挙動と膜のクリープ特性には関係性が認められ,提案したモデルを用いることで上手く説明することができる.また,別途行った欠陥成長試験の結果および原子輸送モデルを用いて成長評価を行った.提案した手法は,欠陥のサイズを定量的に予測することが可能であり開発した手法の妥当性を確認することができた.
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