2008 Fiscal Year Annual Research Report
原子輸送と微視組織変化を考慮した金属薄膜界面近傍における高温損傷機構の解明
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19760060
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
澁谷 忠弘 Yokohama National University, 大学院・工学研究院, 特別研究教員 (10332644)
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Keywords | 原子輸送 / 微視組織変化 / 薄膜 / 高温破壊 / 応力 / 欠陥成長 / ウィスカ / めっき |
Research Abstract |
本研究の目的は, 組織変化を伴う原子輸送による欠陥発生・成長メカニズムを解明し高温環境下での薄膜/基板界面近傍での損傷評価手法を確立することを目的としている. 20年度は, 19年度で提案した欠陥発生・成長モデルの有効性を検証することを目的として, より定量的な評価が可能である実験を行った. また, 欠陥の発生には表面エネルギの増大が伴うため, 必要となる応力には臨界値が存在することを指摘するとともに, その値は結晶サイズに大きく依存することを指摘した, 提案したメカニズムの検証を目的として, ナノインデンテーション法を用いて微小欠陥発生評価を実施した. 融点の低い錫めっき被膜を用いることで, 室温環境でも高温破壊に相当する破壊挙動を再現できるため, 引き続き錫めっき膜を対象とした. ナノインデンターは微小荷重を制御することで欠陥発生を定量的に評価することが可能である. 光沢錫めっき皮膜上を対象として試験を実施した結果, ある一定荷重を超えるとウィスカの発生を確認した. また, 初年度に得た基礎データを元に必要な応力を有限要素解析により定量的に求めることができた. 得られた値は, 提案した理論より推定される値とよく一致しておりその有効性が確認できた. さらに, FIBによる断面観察より化合物がウィスカ形成に及ぼす影響について検討した. 一連の観察および実験結果は, 提案した破壊メカニズムでうまく説明することが可能であり, その有効性を検証することができた.
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