Research Abstract |
近年, 成形コストが低く, 残留応力も小さい紫外線(UV)硬化樹脂がFRPの母材として注目されている. しかしながら, 紫外線硬化樹脂では照射面から硬化が始まり, 照射面から離れると硬化が遅れることが知られている. その結果, 位置によって硬化進展の度合いが異なるため, UV硬化FRPの最適な成形条件を探るのは難しかった. 本研究では, 光ファイバ屈折率測定法を用いることで, UV硬化樹脂の深さ方向における硬化進展モニタリング手法を提案した. 光ファイバ屈折率測定法は微小な領域をモニタリングすることが可能であり, 多点化によって分布的測定を期待することができる. 本研究では3本の光ファイバを並べたマルチアレイ型センサを提案・製作し, 任意深さにおける屈折率の測定を行った. 最初に, アレイ型センサの開発を行い, 硬化が一様に進展する熱硬化性樹脂の硬化度測定結果から, アレイ型センサで正確な硬化度モニタリングが可能であることを明らかにした. 次に, これをUV硬化樹脂の硬化モニタリングに応用し, 深さ方向によって硬化進展が異なるようすをモニタリングすることが可能であることを示した. 実験結果より, UV硬化樹脂の硬化は表面から始まり, 深い位置になればなるほどその硬化進展が遅れることが分かった. 硬化進展の遅れが, 光が樹脂中を伝播する際に生じる減衰によって有効な紫外線量が減少したためと考え, 任意深さにおける透過紫外線量を実測によって求め, それを用いてそれぞれの測定位置での蓄積紫外線照射量を求めた. 蓄積紫外線照射量によって硬化度曲線を整理したところ, 完全には一致しなかった. これは, 紫外線の減衰に波長依存性があるためであると仮定し, 硬化反応に有効な波長の蓄積紫外線照射量を得る補正式を提案した. それを用いて実験結果を整理すると, 実験結果と補正された硬化度曲線はよく一致した. 以上の結果より, 開発したアレイ型センサで深さ方向の分布をモニタリングし, その結果から任意位置での硬化度の進展を予想することが可能であることが示された.
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