2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小領域の弾塑性評価技術の構築と環境助長割れ機構解析への適用
Project/Area Number |
19760075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米津 明生 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (40398566)
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Keywords | 押込み法 / 局所弾塑性特性評価 / 微小薄膜材料 / 環境助長割れ |
Research Abstract |
本研究では, 押込み法(インデンテーション法)による新しい弾塑性評価法を開発するとともに, その手法を様々な材料評価研究へ適用することを目的とした. 押込み法は, 材料の力学特性を局所的に測定できるため, 薄膜などの微小材料や所望の局所領域の特性評価を行えるとともに, その特性の分布(マッピング)も把握することが可能である. 平成19年度は, 有限要素法のパラメトリック解析から広範囲な材料特性に対応できる評価手法を確立し, 微小薄膜材料や塑性加工材の塑性特性分布測定へと応用してきだ. 本年度(平成20年度)は, 研究実施計画どおり環境助長割れ(腐食や水素ぜい化)の問題に本手法を適用し, 割れメカニズムを押込み法で推定した塑性変形特性結果に基づいて検討した。このような環境助長割れの発生および進展メカニズムを議論するためには, き裂先端の変形特性(弾塑性特性)を定量的に明らかにする必要があるが, 本手法はき裂先端のような局所領域における変形や破壊特性を実験的に評価できるため有用であった. 本研究の一部の成果としては, 水素ぜい化割れの端緒となるナノ変形特性に着目し, 吸蔵水素量とナノ塑性特性の関係を定量的に導くとともに, 水素ぜい化を引き起こす下限界吸蔵水素量を押込み試験結果から予測した. 以上のように, 本研究では研究計画とおり, 等方等質材料の弾塑性特性評価研究を実施してきたが, 本手法をさらに塑性異方性を有する材料に対しても適用できるように拡張した. 塑性加工材や複合材料などを対象とし, 通常の評価方法は各方向へ引張試験を実施するが, 本手法では1回の押込み試験で各方向の弾塑性特性評価が行える特長を有している. 具体的には, 試験後の圧痕変形形状の異方性を利用し, その変形量から材料の弾塑性特性を推定する. 今年度は方法の確立と数値実験上での手法の有効性を検証したので, 今後は実際の塑性異方性材料へ適用する予定である.
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Research Products
(9 results)