2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能性表面による摩擦力の低下現象を応用した切削工具の開発
Project/Area Number |
19760095
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Research Institution | Toyama Industrial Technology Center, |
Principal Investigator |
川堰 宣隆 Toyama Industrial Technology Center,, 加工技術課, 研究員 (30443419)
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Keywords | 切削加工 / 機能性表面 / マイクロ・ナノテクスチャ / フェムト秒レーザ / 摩擦 / 小径ドリル / アルミニウム合金 |
Research Abstract |
本研究は,工具表面にマイクロ・ナノメータオーダの微細なテクスチャを作製し,そこで発現する摩擦の低下の作用を応用することで,優れた加工性を持った切削工具を開発することを目的としている.本年度は,前年度作製したDLCコーティッド工具の工具形状の最適化について検討した.その結果,DLCコーティッド工具におけるテクスチャの効果は,コーティングのない場合のそれとは異なり,テクスチャが浅い場合にその効果が強く表れることがわかった.またコーティングのない場合には効果が現れない低速度加工域においても,切削抵抗が減少することを示した. つぎに,これまでの結果を応用して,マイクロ・ナノメータオーダの微細なテクスチャを小径ドリルに適用した.小径ドリルによる加工では,その工具剛性の低さから,切りくずのつまりや切削抵抗の増加にともなう工具の折損などが問題となってくる.テクスチャによって,これらの問題を改善できると考えた.開発した工具の評価を行うため,溶着の生じやすいアルミニウム合金の穴あけ加工を行った.その結果,テクスチャを作製することで,とくに高送り条件下においてスラストおよびその変動幅を小さくできることがわかった.また,この傾向はテクスチャの方向によって異なり,テクスチャの方向が切りくず排出方向に対して垂直な場合にその効果が現れる.さらにこの現象を応用することで工具の耐折損性を向上できることがわかった.以上の結果より,本工具の有用性を示すことができた.
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