2008 Fiscal Year Annual Research Report
局所的力学環境に応じた血小板および赤血球の活性化による二次血栓形成機構の解明
Project/Area Number |
19760108
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坪田 健一 Chiba University, 大学院・工学研究科, 准教授 (10344045)
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Keywords | バイオメカニクス / 血流 / 流体力学 / 計算力学 / 血栓 / 連成問題 / 赤血球 / 血小板 |
Research Abstract |
血小板凝集による一次血栓に続いて生じる二次血栓では, フィブリノーゲンのフィブリンへの変化などによる凝固反応の進行が生じる. そこでは, 既に凝集した血小板の物理的特性の変性, 血小板の周囲に存在する赤血球の生物学的および力学的な影響, あるいは血流に応じた血球成分の輸送など, 生物学的な因子と力学的な因子が連成した複雑な機構が存在する. 本研究では,二次血栓の形成機構を生体力学的観点から明らかにすることを目的としている. 今年度では, 2次血栓において重要な役割を果たす赤血球の壁接着を反映した赤血球の変形運動モデルを提案した. 次に, 提案したモデルの基本的特性を検証するため, 粒子法を用いて血流下における赤血球運動の数値シミュレーションを行った. その結果, 生体外実験で観察される赤血球の接着が, pNのオーダーの接着力で再現されることが分かった. また, 赤血球膜の材料力学的な特性が, 赤血球の運動挙動に大きな影響を与えることが分かった. 一方, フィブリンネットワーク形成に関して, 2次血栓様の凝集塊が出来るためには, 単純な体積平均によるモデル化では不十分であることが判明し, ネットワーク網そのものの形成過程を詳細に再現する必要があることが明らかとなった. また, これらのシミュレーションを将来大規模で行うための準備として, 力学計算の大規模ソルバーについても開発を行った.
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