2007 Fiscal Year Annual Research Report
極低温気液二相/超臨界モデルを用いたキャビテーションと熱力学的効果に関する研究
Project/Area Number |
19760109
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊賀 由佳 Tohoku University, 流体科学研究所, 助教 (50375119)
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Keywords | 混相流 / ターボポンプ / 極低温流体 / 数値解析 |
Research Abstract |
キャビテーション現象は,その非定常性が流体機械の振動や騒音,性能低下や破損の原因となることで知られている.国産の液体ロケットであるH2Aロケットに搭載されている液酸・液水ターボポンプの入口部に設置されているインデューサと呼ばれる軸流羽根車で発生するキャビテーションは,その非定常振動がターボポンプシステムの固有振動と相互に干渉しあうことにより,「キャビテーション不安定現象」へと変化することがある.一方,極低温流体で発生するキャビテーション不安定現象は,その「熱力学的効果」により,常温の水試験で発生するそれと発生領域や種類が異なることが知られており,液体ロケットエンジン・ターボポンプの設計・開発に際しては実液である極低温流体を用いた解析が必要不可欠である.そこで本研究では,独自に開発した極低温気液二相/超臨界数値解析モデルを用い,スーパーコンピューティングによって極低温流体中で発生するキャビテーションの挙動と熱力学的効果について解明することを目的とする.研究初年度である平成19年度は,極低温流体と水とで見られる熱力学的効果逆転現象を再現した.具体的には,ターボポンプインデューサを周方向に展開し簡単化した三枚周期平板翼列流れにおいて,高温水と常温水で発生するキャビテーションの数値解析を行い,その熱力学的効果の傾向が非定常状態のキャビテーションにおいて逆転することを再現した.また,逆転時の流れ場中の蒸発・凝縮領域の分布やそれに伴う飽和蒸気圧分布について再現し,逆転現象のメカニズム解明の糸口をつかむことに成功した.
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