2007 Fiscal Year Annual Research Report
鼻・副鼻腔内における薬液エアロゾルの輸送ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19760114
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
山本 高久 Toyohashi University of Technology, 工学部, 助教 (10345960)
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Keywords | 鼻腔・副鼻腔 / 医療用画像データ / CFD解析 / 鼻中隔湾曲症 |
Research Abstract |
本年度,本申請研究では,マーチングキューブズ法を適用して医療用画像(CT,MRI)から鼻腔,副鼻腔の3次元幾何形状データを作成する手法の確立を行った.特に副鼻腔の一つである上顎洞の抽出においては,医療用画像に由来するノイズの除去や鼻腔表面のスムージングを駆使することにより,実際の鼻腔・副鼻腔を忠実に再現した.既往の鼻腔内のCFD解析では健常な成人男性を対象としたものが殆どであった.そこで本申請研究では副鼻腔炎を患った鼻中隔湾曲症の成人男性を対象に前述の手法を用いて鼻腔・副鼻腔空間の3次元幾何形状データを作成し,その上で空気の流れに注目したCFD解析を行った.その結果,(1)鼻中隔の湾曲により鼻腔内の気流の様相は左右で大きく異なり凹側の鼻腔においては,極めて早い流速の領域が存在する,(2)いわゆる鼻の通りが悪い凹側の副鼻腔の方が鼻の通りが良い凸側の副鼻腔に比べて空気が入り込みやすく,よく換気されることが明らかになった.特に(2)の結果は,従来考えられていた"鼻の通りの良さ=鼻の健常"とは相反することを示しており,また,本症例の病状(鼻の通りが良い凸側の方が副鼻腔炎の症状が重い)と合致していることから,極めて重要な知見であると考えられる.当初の予定では,ここで薬液エアロゾルの輸送解析を実施する予定でいたが,鼻中隔湾曲症の複数の症例に対するより詳しい解析を実施し,同症例に対する鼻腔内の空気の流れを詳細に検討した.
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