2008 Fiscal Year Annual Research Report
鼻・副鼻腔内における薬液エアロゾルの輸送ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19760114
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
山本 高久 Kobe City College of Technology, 講師 (10345960)
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Keywords | 数値流体解析 / 鼻腔内物質輸送現象 / 薬液エアロゾル |
Research Abstract |
昨年度までの研究では, 鼻中隔彎曲症, 慢性副鼻腔炎を患う成人男性について, CTデータから鼻腔3次元幾何形状モデルを作成し, 鼻腔内の物質輸送現象を数値流体力学解析を行い, これら疾患が鼻腔内の熱物質輸送現象に及ぼす影響を明らかにした. そこで本年度は, 症状が異なる5症例についてこれまでと同様な手法を用いて鼻腔3次元幾何形状モデルの作成し, その上でビュライザー治療を想定した鼻腔内熱物質輸送現象の数値解析を行った. その結果, 鼻中隔彎曲症, 肥厚性鼻炎, 下鼻甲介腫脹, 慢性副鼻腔炎の各症状が鼻腔内の薬液エアロゾルの輸送に及ぼす影響が定量的に明らかになった. これら症状が顕著に現れている部位にて薬液エアロゾルが加速されることが確認された. このような薬液エアロゾルの加速は, 局所的な薬液の沈着を意味しており, 薬液を鼻腔内に広く沈着させたいネビュライザー治療の実施条件としては決して好ましいものではないと考えられる. そこで, 本研究ではネビュライザー治療を制御する方策として, ネビュライザー角度を操作することを検討した. その結果, ネビュライザー角度が30-60°のときに薬液エアロゾルが鼻腔内にひろく行き渡ることが, いずれの症例についても確認された. これは, 薬液エアロゾルの主流が鼻中隔彎曲症や肥厚性鼻炎などの発症が少なくまたその影響が小さい下鼻甲介へと遷移することによるものであることが明らかになった. 今後は, ネビュライザー治療における薬液エアロゾルのサイズや鼻腔流入流速による制御を検討する必要があると考えられる.
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