2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 晋 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (40321616)
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Keywords | 乱流 / 混合 / 歳差 / 二軸回転球 / 室内実験 / 粒子画像流速測定 |
Research Abstract |
自転している球体を(球体の自転軸とは平行ではない軸のまわりを)回転しているターンテーブル上に載せることにより、球体を歳差運動させることができる。我々のこれまでの室内実験によれば、歳差運動する球体内に充填された流体の運動は(球体の歳差が極めて弱くても)強く乱れることが明らかとなった。このことは歳差運動をする容器を用いた新しいタイプの混合器が開発できる可能性を示唆している。またこの糸の(2つの回転角速度に由来する)2つの支配パラメタの制御は極めて容易であるため、この混合器の効率もよく制御できるはずである。さて、本年度の本研究課題の目的は(1) 歳差運動する球体内に乱流が維持されるパラメタ域およびその遷移機構を明らかにすること、および(2) 球体内に維持される乱流の統計性質を明らかにすることであった。前者(1) に関しては、本補助金により昨年度までに新たに製作した装置による室内実験と、スーパーコンピュータを用いた高精度の大規模数値シミュレーションとを平行して実行した。その結果、歳差が弱い場合に普遍的に存在する秩序構造を新たに発見した。この秩序構造は球体の自転軸を取り囲むようなバナナ状の形状をもち、この球体内流れの層流乱流遷移を理解する上での鍵を握っていることが明らかとなった。一方、後者(2) に関しては、乱流が得られるパラメタ領域における室内実験を系統的に行った。その結果、乱流の平均流は2軸の角速度比(歳差強さ)により決定される一方で、乱流の発達度はそれらの角速度の絶対値(つまりレイノルズ数)で決定されることが明らかとなった。以上の結果から、歳差運動する球体容器を用いたよく制御された混合器の開発の土台が完成したことになる。
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