2008 Fiscal Year Annual Research Report
壁面近傍を流動する生体高分子の一分子計測と数理モデルの構築
Project/Area Number |
19760117
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新宅 博文 Osaka University, 基礎工学研究科, 助教 (80448050)
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Keywords | 界面動電位 / 電気二重層 / 生体高分子 / 微小流路 / 界面 / 電場計測 |
Research Abstract |
微小流路内部の電場および界面動電現象は, 固液界面近傍における生体高分子流動に多大な影響を及ぼす. しかし, 微小流路内部の電場計測法は未だ確立されておらず, その手法の構築は重要な課題であるといえる. そこで, 本研究課題では昨年度より, 移動度の異なる蛍光粒子を用いた電場および界面動電現象の計測技術を開発している. 本計測技術は電気泳動速度が, 移動度および電場に比例することを利用して, 粒子間の流動速度差から電場を算出する方法である. これにより, 実用的形状を有するマイクロ流路内部における電場および界面動電現象を定量的に計測できることを示した. これらの成果は国内外の専門会議で高い評価を得ており, また, 学術論文としての発表も予定している(採録決定1件, 投稿準備中1件). 本年度は, さらに微小なスケールの流動現象に着目し, ナノメートルオーダの流路深さを有するナノ流路を作製した. ナノ流路内部には, MEMS技術を駆使して, 透明性導電物質であるITOの微小電極を設置しており, これを用いた生体高分子流動の電気的計測法の確立を目指している. 微小電極をITOで構成することにより, 電極表面近傍における生体高分子流動を可視化観察することが可能である. そのため, これまで不明であった電気計測結果と生体高分子流動の対応関係について詳細に明らかにすることが可能であると考えられる. すでにプロトタイプの基本的電気特性については詳細に検討しており, 目的の計測に十分な精度を確保できることを示している. 昨年度より進めている粗視化モデルによると, ナノ流路中に拘束された生体高分子が構造緩和に要する時間を計測することにより, 分子の電荷, Persistence length等の生体高分子の情報が抽出できると予測されている. この予測と電気的および光学的計測結果を付き合わせることにより, 従来にない新たな分子計測技術の確立が期待できる.
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