Research Abstract |
本研究は, 混相流における界面追跡アルゴリズムによる直接数値解析手法を開発し, 3流体混相流のような複雑な界面を有する流れ現象を再現し, "気液界面運動のダイナミクス" の解明を目的とするものである. まず2次元計算によって, 3流体における界面の適切な扱い方について検討を行った. 研究室で開発した2次元2流体のFront-tracking法によるコードを3流体に対応できるように改造し, 各流体間の界面張力バランスを正確に表現する計算方法を検討した. 3流体が接触する点における「濡れ」の影響を丁寧に評価することが可能となったため, 1つの流体成分を固体に置き換え, 固体表面における濡れ特性(静的接触角, 動的接触角, 接触角のヒステリシス)の表現の検証をおこなった. その結果は, 実験力学会の英文論文誌に掲載された. Front-tracking法における界面の表現は, 2次元の場合は線分要素で, 3次元の場合は3角形要素で行われ, 3次元の場合の計算の複雑さおよび計算負荷は2次元の場合に比べて飛躍的に増大する. 3角形要素の連結情報の扱いが非常に厄介であるので, 要素の連結情報を使用しない新手法の開発を行い, 液滴の濡れ表現の検証を3次元で行なった. その結果は機械学会の計算力学部門や関西支部の講演会で発表した. それらと並行して, 計算負荷を抑えたまま界面近傍のみの解像度を上げるために, 局所的格子細分化手法を組み込んだFront-tracking法を開発し, 2次元では完成しつつあり, 現在も引き続き3次元化に取り組んでいる. これまでの濡れのシミュレーションでは, 接触角は静的または, 経験則によって与えられてきたが, 本研究で開発されたFront-tracking法によれば, 固体面条件として界面張力を与えるのみで, 接触角が移動速度に依存する動的な濡れの状態を再現することが出来た.
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