Research Abstract |
本研究では, 吸着冷凍機の主要な運転パラメータの一つであるサイクルタイム構成を最適化し, 単位吸着材質量当たりの冷凍能力(SCC : Spectfic coohng capacity)を最大化することを目的としている。平成20年度は, 吸着材熱交換器の設計パラメータと最適サイクルタイムとの関係を明らかにし, 吸着冷凍機の設計に有用となる指針を得た。 吸着冷凍機の数学モデルを無次元化し, 各種の設計値を無次元パラメータによって表した。無次元化された数学モデルを用いてシミュレーションを行うことにより, 冷凍能力の規模にかかわらず, 熱交換器特性が吸着冷凍機の性能に与える影響を同様な境界条件の下で評価・比較できる。吸着材熱交換器の特性を表す無次元パラメータとして, 熱交換器と吸着材の熱容量比, 伝熱単位数NTUについて解析した。これらの値を変化させ, それぞれの場合についてParticle Swarm Optimization(PSO)による最適化を行った。最適化は, SCCの最大化を目的関数とし, 吸着冷凍サイクルの吸着過程時間, 準備過程時間を変数とした。その結果, 以下の知見を得た。 吸着材熱交換器の熱容量比を小さくするとSCCの最大値が大きくなる。また, 最大のSCCを得るための最適なサイクルタイムは, 熱容量比が小さいほうが短かった。さらに, 熱容量比が小さい場合には, SCC最大時のCOPも同様に向上する。一方, NTUが大きいほうが熱交換器の伝熱特性が改善され, SCCの最大値は拡大するが, SCC最大時のCOPは低下することがわかった。 今後, 熱交換器特性と最適サイクルタイムとの関係を一般化し, 熱交換器の設計とSCCを最大化するための運転パラメータの設定を関連付ける一般式を提案できれば, 高性能な吸着冷凍機の設計に有用であると考えられる。
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