2007 Fiscal Year Annual Research Report
クラスレート水和物の結晶モルフォロジー多様性の解明
Project/Area Number |
19760137
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大村 亮 Keio University, 理工学部, 講師 (70356666)
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Keywords | 熱工学 / 結晶成長 / メタンバイトレート / 天然ガス / クラスレートバイトレート |
Research Abstract |
本年度はシクロペンタンをゲスト物質とするハイトレート生成系において,液・液界面に生成するハイトレート結晶の結晶モルフォロジー観測実験を実施した.シクロペンタン十水系では大気圧下.7.2℃以下の温度にてバイトレートが生成する.実験時の圧力は大気圧として,温度を0℃-6℃の範囲に設定して複数の温度レベルでの顕微鏡観測実験を行い,温度に依存したハイトレート結晶モルフォロジーの多様性を明らかにする観測結果を得た.この液・液界面には生成するハイトレートは界面を覆い尽くす膜状の多結晶体を形成する.その個々の結晶の形態と大きさは温度に強く依存して変化する.0℃程度の温度条件では,結晶はくさび形でありその一辺の大きさは数十マイクロメートル程度である.系の温度が高くなるとここの結晶が大きくなる傾向が見られ, 3 ℃では0.5 mm程度の辺長の平板状の多角形結晶となり, 5 ℃では1mmオーダーのサイズとなった.これらの結果は系の熱力学的条件に依存した構造IハIイトレートの結晶モルフォロジーの多様性を明確に示した初めての例である.また,シクロペンタンハイトレートの大気圧・7.2℃という平衡条件は空調用の蓄熱媒体に適したものであり,今回の観測結果は実用的な蓄熱システムをデザインするための最も基盤的な情報となる.ゲスト物質として二酸化炭素及びエタンを用いて,高圧(0.5-3MPa)における観測実験にも着手した.限られた温度・圧力条件ではあるが,これらの気体ゲストと水の気・液界面に生成するハイトレート結晶の観測に成功しており,次年度により広い条件での観測実験を行う準備は十分整ったと言える.
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