2009 Fiscal Year Annual Research Report
クラスレート水和物の結晶モルフォロジー多様性の解明
Project/Area Number |
19760137
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大村 亮 Keio University, 理工学部, 准教授 (70356666)
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Keywords | 熱工学 / 結晶成長 / メタンハイドレート / 天然ガス / クラスレートハイドレート |
Research Abstract |
天然ガスを模擬した組成のメタン+エタン+プロパン混合ガスをゲスト物質に用いて,高圧条件にて水とこれらのガスとの気・液界面にハイドレートを生成させる実験を実施した.この混合ガス系では構造IIという結晶構造の水和物を生成することが平衡熱力学的には知られている.昨年度までと同様の高圧容器を用いた実験を行った.すなわち,一対のガラス窓を有する高圧容器内に設置した台座上に水滴を静置して,この水滴の周囲の空間を上記のガスで満たておき,この水滴上に形成される水和物結晶の成長過程を側方から顕微鏡観察して,その観察画像を解析することで結晶成長速度と結晶形態(モルフォロジー)を明らかにした. 実験時の温度圧力条件の範囲は,273K-285K,1MPa-7MPaとして,この範囲内の異なる温度・圧力レベルでのハイドレート生成過程観察実験を実施して,結晶成長速度と結晶形態の多様性を実験的に明らかにした.実験時の温度圧力条件と水和物の平衡条件との隔たり(温度差)あるいは水中におけるゲスト物質の濃度差を結晶成長の駆動力と考え,結晶成長の駆動力結晶成長挙動との関係を整理した.結晶成長の駆動力と結晶成長挙動との関係については,昨年度までに実施した純メタン系についての結果も含めて,その一般性を検証した.この結果,温度差よりもゲスト物質濃度差を用いた整理の方がより良好に実験データを整理できることが示された.このことは流体相界面におけるハイドレートの生成・成長にゲスト物質の物質移動が重要な役割を果たしていることを示している.
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