2008 Fiscal Year Annual Research Report
一分子熱制御のための近接場蛍光サーマルプローブの開発
Project/Area Number |
19760138
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田口 良広 Keio University, 理工学部, 助教 (30433741)
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Keywords | ナノバイオ / 熱光学 / 走査顕微プローブ / マイクロ・ナノデバイス / 計測技術 |
Research Abstract |
近接場光は光の波長よりも十分に小さい開口に局在する非伝播光成分であり、そのしみ出し深さは開口径と同程度である。ナノサイズの微小開口を有する近接場プローブを用いることで、光の回折限界を超えた高い空間分解能で試料の光学応答を分析することができる。本研究では、近接場プローブによって励起された近接場光によって機能性たんぱく質を熱的に刺激し、その温度応答特性を分析する一分子熱制御技術を確立することを目指しており、平成21年度は以下に挙げる具体的な成果を得るに至った。 ◆高感度化のための近接場プローブのシステムデザイン (1) Geを高濃度にドープした近接場ファイバーは、励起波長に対してラマン散乱ならびに自家蛍光を強く発光するために、微弱な近接場光のノイズとなる。本研究では、ノイズ光のスペクトルを測定し、S/N比向上のためのスペクトル分析を行った。 (2) バックグラウンドノイズを低減させた全く新しい革新的近接場プローブの設計を行った。特に、近接場プローブ先端の蒸着膜の材質と、開口作製技術を新たに構築した。開口作製技術は、フォトダイオードとサファイア基板によって構築された押付機構を有し、伝播光制御を用いることで安定した開口形成を可能とした。 (3) 試作した革新的近接場プローブを用いて、自己組織化蛍光分子の測定を行い、有用性を明らかにした。その結果、空間分解能100nmで高感度に温度情報を検出することが可能であることが示された。
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