2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760139
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
千足 昇平 Tokyo University of Science, 助教 (50434022)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / 光物性 / 近赤外蛍光分光法 / 環境効果 |
Research Abstract |
近赤外蛍光分光法(photoluminescence, PL)を用いて単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube, SWNT)の電子構造についての分析を行った.SWNTは1枚のグラファイトのシート(グラフェン)を筒状に巻いた擬1次元構造物質であり,その物性は理論的,実験的に注目を集めている.また,直径が数nmと細いにも関わらず,長さは数μmから数mmと非常に長い.その高いアスペクト比からもナノ構造物質としての応用が期待されている.また,その巻き方(カイラリティ)によって電子構造が変化し,金属性または半導体性の電気伝導特性を示すという特異な電気伝導性を持つことが知られている.このような特性から電子デバイスへの応用が盛んに研究が進められている. そのSWNTの電子構造は温度,圧力や周辺環境によって変化し,それに伴いSWNTの光物性も周辺環境に影響を受ける.本年度はSWNTの周りのガス雰囲気による物性変化をPLスペクトル測定により行った.エタノール蒸気を環境ガスとして使用したところ,エタノールガス分子がSWNT表面に吸着脱離することにより急激にPLスペクトルが変化することが分かった.このPLスペクトルの変化は,SWNT表面の吸着分子の持つ誘電率によってSWNTの電子構造が強く影響を受けていることが原因と考えられる. さらに,大気中に置かれているSWNTに対する分析を行った.その結果,合成後SWNTを大気に曝すだけで,SWNTの表面は水などの分子によって吸着され,その吸着物質の誘電率によりSWNTの電子構造は大きく変化してしまっていることが明らかとなった.これらの結果から,これまで大気中にて測定されてきたSWNTの電子構造は既に吸着による影響を受けており,SWNTを用いて作製したデバイスの分析などにおいて,その影響を考慮することが非常に重要であることが分かる.
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Meissner effect in honeycomb arrays of multi-walled carbon nanotubes.2007
Author(s)
N. Murata, J. Haruyama, Y. Ueda, M. Matsudaira, H. Karino, Y. Yagi, E. Einarsson, S. Chiashi, S. Maruyama, T. Sugai, N. Kishi, H. Shinohara
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Journal Title
Physical Review B 76
Pages: 245424-1-245424-6
Peer Reviewed
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