2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760141
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
後藤田 浩 Ritsumeikan University, 理工学部, 准教授 (00434712)
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Keywords | 燃焼 / 反応流 / カオス / 複雑系 / 熱流体 |
Research Abstract |
希薄予混合燃焼は環境にクリーンな燃焼方式として近年着目されている. しなしながら, 燃焼不安定が生じやすく,燃焼状態の適切な予測と制御が困難とされる. そのため, 超希薄条件下で安定に燃焼を維持できる燃焼制御技術の確立が強く望まれている. 非線形カオス力学に基づく時系列解析は, 物理系のみならず生命科学・情報系などの幅広い分野で着目されており, 複雑に変動する非線形現象の解明や予測・制御に対して適用されつつある. 燃焼は流動, 熱・物質拡散, 化学反応が相互に作用し合う複雑な非線形現象であることから, 非線形力学の考え方が燃焼ダイナミックスの取り扱いに対しても有効であると思われる. ガスタービンやパルス燃焼器内の燃焼現象とカオスの関連性が論じられているが, 非線形力学の視点から火炎挙動の決定論的性質を抽出し, 刻々と変化する燃焼状態を予測する研究例は,報告されていない. そこで, 本研究では,非線形カオス力学の視点から, 時間的・空間的に不規則に変動する火炎面挙動の決定論的性質を調べ, 火炎面挙動の短期予測を行った. 相互情報量, 順列エントロピー, 相関次元, サロゲート法を組み合わせた並進誤差の特徴を調べることによって, 火炎面挙動は中次元程度以上の複雑なダイナミックスを有するが, 決定論的カオスが存在することが明らかとなった. また, 状態空間内の軌道同士の距離の変化に着目した非線形予測法を用いることで,火炎面挙動の短期予測の可能性が示された.
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