2007 Fiscal Year Annual Research Report
自然対流及び強制対流中における臨界点近傍ヘリウムの流体力学的不安定性の解明
Project/Area Number |
19760144
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岡村 崇弘 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 助教 (90415042)
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Keywords | 熱伝達特性 / 不安定性 / 直接数値シミュレーション / 乱流 / 渦構造 / 浮力対流 / 並列計算 |
Research Abstract |
超臨界へリウム(SHe)が近年超伝導電磁石等の冷媒として用いられている.これに伴いSHeの熱・流体力学的な特性の把握が重要な課題となっている.一般に臨界点近傍流体は臨界異常に起因してプリュームやピストン効果が生じ、非常に複雑な場を形成することが明らかにされてきている.実際に数値実験や可視化実験等を行い超臨界流体の挙動を観測した例もあるが,これらの多くは流れ場を2次元的に捉えたものであるため,渦構造等の3次元構造や層流から乱流への遷移過程等の動力学に関しては十分に解明されていない.そこで本研究課題ではSHe(特に臨界点近傍)での自然対流及び強制対流熱伝達機構を解明することを目的としている. H19年度は主にヘリウムの臨界点近傍及び臨界点から離れた超臨界状態(超臨界圧力下)において、水平平板の下側が加熱される系における2次元及び3次元数値シミュレーションコードを作成し、自然対流及び強制対流中の流れ場の構造を数値的に明らかにすることを試みた.本解析コードは計算コストを削減するために並列化されており、最大で8CPUを用いた計算を行うことができる環境を構築した.このコードを用いたシミュレーションにより、自然対流場に関しては、臨界点近傍のヘリウムの加熱初期に出現する密度変化に起因する不安定波及び渦構造の時間発展の様相を明らかにした.強制対流中でも条件によっては温度境界層に不安定波が生成されており、速度境界層内の速度分布に関しても通常流体の場合とは大きく異なることが直接数値シミュレーションにより示された.これらの結果はH20年度に開催される国内及び国際学会で報告する予定である.
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