2008 Fiscal Year Annual Research Report
自然対流及び強制対流中における臨界点近傍ヘリウムの流体力学的不安定性の解明
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19760144
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岡村 崇弘 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 助教 (90415042)
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Keywords | 熱伝達特性 / 流体力学的不安定性 / 熱的不安定性 / 渦構造 / 乱流遷移 / 数値計算 |
Research Abstract |
一般に流体機器における流動摩擦抵抗の低減や伝熱特性を向上させる有効的な手段の1つとして、流れ場に形成される渦の構造と力学過程を把握しこれらを制御する方法が挙げられる。超臨界ヘリウム(She)を用いた加速器用超伝導電磁石冷却流路等は空間的な制限も多いため、流れ場の制御を行うことは非常に有益であり、妥当な制御を行うためにも各種流れ場における渦の動力学を明らかにすることは必要不可欠と考える。昨年度は水平平板自然対流場における渦構造の数値計算を行った。解析から密度差及び低熱拡散性に起因した高温・低温ドメインの界面不安定性により対流発生の初期の段階で多数の渦輪が形成される。その後は位相幾何が変わり端部を有する管状渦により流れ場は支配されることが示された。浮力が絡む流動場は言うまでも無いことだが、一般に熱伝達特性・流動特性は流路の設置方向や流路アスペクト比等形状に強く依存するため、上述の渦の構造変化がそのまま他の系に当てはまることはできない。そこで乱流への遷移過程等未だ不明点の多い鉛直平板自然対流場における境界層内の流動状態について渦構造と熱伝達の両面から明らかにすることを本年度は中心的に行った。研究では、1)得に渦構造に着目し静止場から発達した乱流場への時間発展・空間発展を捕らえること 2)発達した乱流への移行において、出現する流体力学的、外力駆動的不安定機構の存在と種類 3)伝熱特性の空間発展、時間発展の解明、の3つを焦点をあて研究を行った。研究の結果、臨界点近傍ヘリウムの鉛直平板自然対流場において、少なくとも2種類の不安定機構を経て発達した乱流場へ移行することを明らかにした。第一次不安定性では発熱面近傍に2次元的横渦対が一定間隔で形成される。第2次不安定性では2次元的横渦の3次元過程が明らかにされた。2次不安定性においても数種類の3次元化機構を有しているを明らかにした。また熱伝達の跳びの機構と発生理由も定性的にだが明らかにすることが出来た。
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Research Products
(2 results)