2007 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッドモデルを用いたマシニングセンタの動的シミュレーション解析法の開発
Project/Area Number |
19760154
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中野 寛 Kagoshima University, 工学部・機械工学科, 助教 (70433068)
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Keywords | 機械力学・制御 / モデル化 / 振動解析 / びびり |
Research Abstract |
切削加工中に発生する再生びびり振動は,仕上げ面精度を悪くしたり,激しい振動による工具の破損や摩耗の促進を引き起こす原因になっている.びびり振動を防ぐためには工具の軸方向切り込み深さを減らしたり,低速で切削することで回避可能ではあるが,加工能率の点では不利となる.近年,金型成型や部品加工で高速化や高精度化の要求に応えるために,びびりが発生するぎりぎりの条件で加工せざるをえず,未だに根本的な解決には至っていない.本研究では,マシニングセンタの動的シミュレーションモデルを構築して,事前に実験を行なうことなくシミュレーションからびびり振動発生の診断を行なうことを目的とする.本年度は,縦型マシニングセンタを用いて,振動試験および切削実験を行ない,マシニングセンタの振動特性やびびり振動の発生条件を調べた.その結果を以下に示す. 1. 工具,主軸ヘッド,被削材取り付けテーブル,コラムなどの振動試験を行ない,マシニングセンタの振動特性を調べた.その結果,マシニングセンタ全体が振動するモード,スピンドルヘッドとテーブルが逆位相で振動するモード,スピンドルと工具系のみの振動モードを確認した.これらの結果を踏まえてモデル化を行なう. 2. 真鍮を被削材として上向き削りと下向き削りで切削実験を行ない,軸方向切り込み深さを連続的に変化させ,びびり振動が発生する安定限界線図を実験から求めた. 3. 切削中の工具の振動をレーザー変位計で測定して,びびり振動の発生前後での工具振動を周波数分析した.その結果,びびり振動が発生すると主軸・工具系の固有振動数付近のピークが卓越し,各切れ刃間の振動の位相差が一定になることを確認した.また,主軸回転数を変えて,びびりが発生しにくい回転数と,そのときの位相差に関連があることを確認した. 4. 次年度はこれらの実験結果を踏まえて,モデル化を行なう予定である.
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