2010 Fiscal Year Annual Research Report
音フィードバック手動制御系のための適応型音響ディスプレイの開発
Project/Area Number |
19760176
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤井 文武 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30274179)
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Keywords | ユーザインターフェース / 仮想音像定位 / 適応的調整 / ニューラルネットワーク / 手動制御システム |
Research Abstract |
本研究では,ステレオヘッドホンを利用して頭外音像定位を実現する技術について,その定位性能を悪化させる要因である頭外音像定位伝達関数(SLTF)の個人差を適応的に補正する能力を持った音ディスプレイの開発を行った.まず,昨年度の研究においてSLTFを計算する前段階に行った,外耳道伝達関数(ECTF)の測定系を再構築し,信頼に足る測定結果が得られるようにした.次いで,SLTFの個人差の適応的吸収を行うことのできるSLTF調整システムを構築した.このシステムでは,個人差が顕著であるとされるECTFについて,5kHzまでの帯域を複数に分割し,その帯域ごとにゲインを補正する係数を置き,その係数を適応的に調節することで仮想音像の定位精度向上を漸近的に達成する構成とした.係数の調整ルールは最急降下法であるが,降下(負の勾配)方向の計算を行うためには,提示した音像を人間によりどの方位角方向にある仮想音像であると判断するかという認知処理の機構を定式化する必要がある.今回はこれを,入力がある仮想音像を方位角に対応するSLTFを複数の周波数帯域に帯域分割したものを複素数値として与え,出力を当該仮想音像の方位角とするニューラルネットワークで構築した.ニューラルネットワークは各方位角の出力が0.003度以内となるまで事前学習を行った上で音響ディスプレイシステムに組込み,受聴者が提示された音像の方向を答えることにより得られる定位誤差信号に関する評価関数の値を減少させる方向に,前述のECTF補正係数を変更するようにした.システム導入後に音像定位実験を行った結果,このシステム導入前に比較して定位精度の改善が見られ,システムの効果が確認された.
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Research Products
(1 results)