2008 Fiscal Year Annual Research Report
三相一体構造可変インダクタの開発と系統電圧安定化装置への応用に関する研究
Project/Area Number |
19760188
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 健二 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (70323061)
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Keywords | 三相一体構造可変インダクタ / 無効電力補償 / 系統電圧安定化 / 磁気回路解析 |
Research Abstract |
平成20年度においては、昨年度試作した4.0 kVA級試作器を用いて、より詳細な実験を行うとともに、可変インダクタの設計には欠かすことのできない、鉄損の定量的解析手法の確立に取り組んだ。 まず、実証試験については、交流電源電圧を種々変えることで、鉄心の動作磁束密度を変化させて基礎特性の測定を行ったところ、設計時の1.2倍の電圧を印加しても、良好な制御特性と低電流歪み特性が得られることが明らかになった。一方で、有限要素法(FEM)やリラクタンスネットワーク解析(RNA)による検討では、動作磁束密度が高くなることから、電流歪みが顕著に現れる結果が得られた。このように解析と実験の結果に、かい離が認められた点については、今後より詳しい調査・検討が必要である。 次いで、鉄損の定量的解析手法の確立については、筆者らが考案したRNAを発展させ、これまでの非線形磁気抵抗回路網モデルの中に、鉄損を表す磁気インダクタンスを適切に配置することで、基礎特性と同時に鉄損も算定できるモデルを構築した。構築したモデルによる計算値は、実測値とほぼ良好に一致し、計算手法の妥当性が明らかになった。 さらに、このモデルを用いて、三相一体構造可変インダクタの効率について、解析および実験の両面から検討を行ったところ、約85%程度であることがわかった。損失の割合は、銅損の方が鉄損よりも最大で10倍程度大きい。この原因は、三相一体構造可変インダクタでは、その構造上ヨーク部に制御巻線を巻く必要があるため、巻線の占積率が従来器に比べて著しく悪いことが挙げられる。従って、今後は巻線の巻き易い磁心構造の発案による、巻線占積率の向上が必要不可欠であると言える。
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