Research Abstract |
スイッチトリラクタンスモータ(SRモーター)は,構造が単純で堅牢,安価,悪環境下で運転可能,高効率などの特徴があり,電気自動車への応用が期待される。しかし,トルクリプル,回転子位置検出が必要などの欠点も有する。特に,電気自動車においては,回生制動や後退を含む四象限可変速運転が必要であり,また,トラクションコントロールなどの高度運動制御への応用の観点から,高精度なトルク制御が重要な課題である。従来のトルク制御法では,モータ全体の発生トルクや磁束ベクトルのみに着目するため,各相のトルクや電流については適切に分配されず,各相トルクが打ち消しあい,大きなロスとなっていた。本研究課題では,電気自動車用SRモータの高精度・高効率駆動を目的として,各相の最適トルク・電流分配をベースとした新しい制御方法の提案と実現を行うことを目的とする。 平成19年度は,シミュレーションと小型モータを用いた実験により基本的なアルゴリズムの考案と検証を行い,また小型電気自動車への適用のためのシミュレーションによる基本的な検討を行った。 1.計算機シミュレーションによりアルゴリズムの開発と検証を行い,提案制御法の有用性を確認した。 2.小型モータを用いた実験を行い,トルク制御精度や効率が従来手法より優れていることを確認した。 3.小型電気自動車駆動への適用シミュレーションモデルを構築し,基本的な制御アルゴリズム適用を行った。その結果,予測される良好な結果を得たほか,本制御アルゴリズムの万能性が明らかになった。 以上により,本年度の研究目標を十分に達成したほか,来年度の研究に対する準備も進めることができと考える。
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