Research Abstract |
スイッチトリラクタンスモータ(SRモーター)は, 構造が単純で堅牢, 安価, 悪環境下で運転可能,高効率などの特徴があり, 電気自動車への応用が期待される。しかし, トルクリプル, 回転子位置検出が必要などの欠点も有する。特に,電気自動車においては, 回生制動や後退を含む四象限可変速運転が必要であり, また, トラクションコントロールなどの高度運動制御への応用の観点から, 高精度なトルク制御が重要な課題である。従来のトルク制御法では, モータ全体の発生トルクや磁束ベクトルのみに着目するため, 各相のトルクや電流については適切に分配されず, 各相トルクが打ち消しあい, 大きなロスとなっていた。本研究課題では, 電気自動車用SRモータの高精度・高効率駆動を目的として, 各相の最適トルク・電流分配をベースとした新しい制御方法の提案と実現を行うことを目的とする。 最終年度である平成20年度においては, 実車へ制御の適用と制御パラメータの最適化を行い, また, センサレス化の基礎検討を行った。 1. 電気自動車駆動への適用シミュレーションを行い, 最適な制御パラメータを選定した。 2. 制御回路を設計・製作し, 実際に実走行試験を行い, トルクリップルが実際に減少していることを確認した。さらに, 回生制動を含む四象限駆への拡張を行い, すべての象限においてトルクの高精度な制御が実現できていることを確認した。 3. センサレス化の基礎検討を行い, 電気自動車の始動やトルクの制御が可能であることを確認した。 以上により, 本年度の研究目標を十分に達成したほか, 全体の研究目標も十分に達成することができた。
|