Research Abstract |
重症心不全患者の心臓移植に変わる治療法として,補助人工心臓(以下,人工心臓)が脚光を浴びている.人工心臓は,基本的に,羽根車を回転させ,血液を吐出するポンプであり,患者の心臓を切除せずに体内に埋め込まれ,血液循環を補助することで,心臓の負担を軽減し,心機能を回復させる. 中でも,羽根車を磁気力により非接触で支える磁気浮上式人工心臓は,高耐久性・低血液ダメージという利点があり,さらに,(1)小型,(2)高支持力,(3)低消費電力,(4)低血液接触面積,が要求されている.特に,(1)に関して,遠心ポンプ式の人工心臓は,縦にして患者の脇腹に埋め込まれる.このため,高さの低減が特に求められる.そこで,本研究では,上記要求を満足する,極薄型のベアリングレスモータを提案,設計,試作,評価を行い,埋め込み型人工心臓に適用することを目的とする. 本年度は,まず,新しい極薄型のベアリングレスモータを提案した.従来のベアリングレスモータでは,コイル端が軸方向に広がり,薄型化に限界があった.そこで,本提案方式では,固定子にC形状の鉄心を複数個用い,コイル端が半径方向に広がるベアリングレスモータを提案し,高さの低減を可能にした.また,コンシクエントポール型のディスクを2層用いて回転子を構成することで,磁気浮上に十分な支持力・剛性,および低消費電力化を実現する.次いで,3次元有限要素法を用いた磁場解析により,提案したベアリングレスモータの設計を行った.支持巻線の起磁力分布が正弦波状となるような巻線構造を用いることで,コンシクエントポール型ベアリングレスモータ固有の,実際に発生する支持力方向と所望の方向との誤差の問題を解決した.
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