2008 Fiscal Year Annual Research Report
電気機器用傾斜機能材料(FGM)の高精度作製技術の構築
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19760195
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 克巳 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (20293665)
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Keywords | 傾斜機能材料 / 絶縁材料 / エポキシ / 充填材 / 遠心加速 / 誘電率 / スペーサ / 電界分布 |
Research Abstract |
高電圧を用いた電気機器・電力機器においては、近年コンパクト化が強く求められている。そのため、機器内部に印加される電界が局所的に強調されないような設計上の工夫が必要となる。このように電界分布を均一化するための絶縁材料として、傾斜機能材料の適用可能性を検討してきた。本年度は、電極表面における電界強度を低減できる傾斜機能材料開発を実施し、その性能を検証した。 電極表面における電界強度の低減のためには、誘電率を電極表面近くで高く、それ以外で低く取る必要がある。そのため、電極間に誘電体をおく電気絶縁スペーサの場合、U字の誘電率分布傾斜が必要とされる。このような傾斜を有する誘電体を実現するために、大粒径充填材入りエポキシを下方に、小粒径充填材入りエポキシを上方に、2層状に注型し、これに遠心力をかける方法を考案した。この2層の層厚さや比率、また2層それぞれの充填材の誘電率や粒径を適切に選択することで、U字の誘電率を有するスペーサが実現できることを、サンプル作製を通じて明らかにした。 また、遠心力印加条件や用いる材料を変化させることで、U字分布の様相が変化し、これらの取捨選択を適切化することで、誘電率分布の最適化が可能であることを確認した。 次に、このような誘電率分布を有するスペーサを実機器に適用した場合に得られる効果の一つとして、電力機器寿命延伸効果を定量化した。その結果、U字FGMの適用によって、電極表面の最大電界が緩和され、条件によって数倍から10数倍程度の寿命延伸効果が期待できることをシミュレーションによって明らかにした。
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