2007 Fiscal Year Annual Research Report
電位の異なる導体接触時の体内通電電流に関する基礎研究
Project/Area Number |
19760205
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Research Institution | Takamatsu National College of Technology |
Principal Investigator |
太良尾 浩生 Takamatsu National College of Technology, 電気情報工学科, 准教授 (00321498)
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Keywords | 低周波数 / 接触電流 / 人体数値モデル / 電流密度 |
Research Abstract |
生体媒質の少なくとも2箇所に電極を設置し,電位差を与えた場合の媒質内における電界と電流密度を解析するコードを開発した。将来的には,人体数値モデルを使用し,800万個を超える要素数での解析を行うため,大容量の計算機と,連立方程式の高速解析が可能なマルチグリッド法による演算処理方法を用いた。同時に,この解析コードの妥当性を検証するために,直方体の水槽に単媒質または2媒質の生理食塩水を浸し,それぞれ(1)平板電極,(2)棒電極,(3)点電極を配置した場合についてモデル内の電界分布を測定した。電界測定にはプローブ電極を用いて,2点間の電位差をロックインアンプで測定し,プローブ間隔(Δl=10mm)で除した。その結果,同じ条件における電界分布の解析結果と測定結果の傾向は概ね一致しており,数値的にも一部を除いてよく一致していることが分かった。一部で誤差のあった原因として,測定に用いたプローブ間隔(Δl)による空間分解能の低下が考えられる。 今後は,プローブ間隔を小さくし,分解能を高くした上で,複雑なモデル形状に対して測定結果と解析結果を比較することで,更なる妥当性の検証を行う。また,この解析コードを人体数値モデルに適用し,実際的な解析条件における体内電界や電流密度を解析する。 この数値解析手法を人体数値モデルに適用することで,人体の様々な2箇所間に接触電流が流れた場合について体内の電流密度や電界強度が詳細に把握できるようになる。例えば,ICNIRPでは接触電流の参考レベルが0.5mAとされているが,これによる神経系組織での電流密度が基本制限に対してどの程度であるのかが分かるようになる。また,最近公共機関で普及されるようになったAEDに関して,電極配置と除細動効果との関係をシミュレーションで検討することが可能になると考えられる。
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