2007 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ電子源を用いた含ハロゲン化合物分解無害化処理に関する研究
Project/Area Number |
19760206
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Research Institution | Institute for Laser Technology |
Principal Investigator |
山浦 道照 Institute for Laser Technology, レーザー加工計測研究チーム, 研究員 (20370215)
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Keywords | 有害化学物質 / ナノチューブ・フラーレン / 環境技術 |
Research Abstract |
本研究の目的は、カーボンナノチューブ(以下、CNT)から放出される電子群を用いて、ダイオキシン類、PCBなどの含ハロゲン化合物を対象とした分解無害化処理の評価を行うことである。電子源にCNTを採用したのは、非常に長寿命な点である。 H19年度は、ベンゼン環に水酸基1つ、塩素基1つで構成されたクロロフェノールに加え塩素基2つ、3つのジクロロ、トリクロロフェノールを用いて分解処理実験を行った。試料は、液体および粉末状なので、実験の際は、吸着性の高いシリカゲルに担持させている。この担持されたシリカゲルにCNTから放出された電子群を照射している。なお、実験装置内は真空状態(10^<-2>Pa)、電極間距離は35mmである。その結果、クロロフェノール同様、ジクロロ、トリクロロフェノール共にCNT電子源を用いた数分間処理で初期濃度(1162ppm、73ppm)いずれも大幅に低下、分解処理されたことを実証した。塩素基の数が多い、すなわち毒性が強い物質ほど初期濃度の低下は顕著であることも明らかとした。この時の印加電圧は、直流1kV、電極間の電流値は500μAであり、消費電力は0.5Wと見積もられる。 本研究では、比較的高エネルギーの電子照射による化学有害物質の分解処理であるので、試料のシリカゲルからの脱着が懸念される。脱着の原因と考えられる低圧化および電子源からの輻射熱によるシリカゲルの温度上昇に関して考察を行った。その結果、真空下では脱着は起こっていないことは実証した。輻射熱に関しては、黒体輻射の計算式から、最大温度上昇は約60℃であり、この値は脱着には影響を及ぼさないことも明らかとした。ゆえに、本研究では、試料の脱着は起こっておらず、電子群の寄与による分解処理であることを明らかとした。
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